【債券デリバティブ講義】債券とローン(融資)、変動金利と固定金利
債券とローン(融資)
債券もローンも一定の金額を借り入れする代わりに、決められた利率を借りている期間利子を支払う契約です。例えば、「4年間 100万円 固定金利2% 利払い半年毎」の債券/ローンでは以下のようなキャッシュフローが発生します。
図1.債券/ローン キャッシュフロー・ダイアグラム
違いは以下の通り。
- ローン(融資)
- 相対(1体1)で銀行や取引先から資金調達を行う
- 申し込みから借り入れまでの期間が短い
- 短期の借り入れが多い代わりに借り入れの手続きが比較的簡単
- 債券
- 一定数以下または不特定多数の人から資金調達を行う
- 第三者に債券自体(金利や元本払い戻しの権利)を売ることができる
- 多額・長期の借り入れがしやすい
- 借り入れの手続きが複雑
- 特に不特定多数からの資金調達は法的ハードルが非常に高い
教科書を見ると間接金融と直接金融等という毒にも薬にもならない経済用語でその違いを説明されるが、小回りが利く代わりに銀行便りなローン、大規模に様々な層から資金調達できるが法的制約が厳しい債券というのが実際の違いだろう。
変動金利について
債券やローンにおいて適用される利率方式は大きく分けて2通りある。固定と変動である。固定金利は 利払い毎に適用される利率が変わらない事を意味するため簡単だが、変動金利の場合はこれが複雑である。
変動金利は以下のような特徴がある
銀行が不動産融資などの変動金利に利用する基準金利として短期プライムレート(短プラ)がある。短期プライムレートは
1年未満の短期の貸出を最も財務状態が良い企業に対して行う最優遇金利
とされている。が、実際は大企業は短プラの高い金利での借り入れなんて行わない。様々なWEBページで行われているこの説明は正しくなく、主に個人向け・不動産ローン向けの貸し出し基準金利になってきているのが実態だ。
短プラは優遇短期金利という事になっているので、財務状態が最良じゃない場合スプレッドが乗って「短期プライムレート+2%」があなたの借り入れ変動金利です、という形で使われる。