【債券デリバティブ講義】金利モデルについて② 金利スワップモデル例
「金利モデルについて①」で、以下を求めることができました。
一方で、特定の6か月後以外の特定の月の値はどうやって求めるのでそうか?
例えば、
- 9カ月間の割引率(DF(9m))
- 3カ月後の6カ月間金利(6mLibor(3m))
はどうやって求めるのでしょうか?
市場価格から求められる6か月と1年後の割引率は求められるけど、その間は?
現時点と6か月後の6か月間金利の価値は計算できたけど、じゃあ3か月後の6カ月間金利はどうやって求めるのでしょうか?
答えは・・・"適当にそれっぽい値を求める!" です!
「え、なにそれ?」って思う方も多いかもしらませんが、金融業者はみんな適当にそれぞれ計算しています。ここではその方法、であるデリバティブを説明します。まずは、これから使う記号の説明を一応しておきましょう。
直接求めることができる6mLibor (6m)などのフォワード金利を線形補完します。
以下の図を見てください。
線形モデルを仮定して、フォワード6カ月金利を求めたものです。
点と点の間が直線で(リニアに)補完されているのがわかります。
計算の仕方は求め方は簡単です。例えば、3カ月後の6カ月金利でしたら、
6mLibor(3m) = (6mLibor (0)+6mLibor (6m)) / 2
*6mLibor (0):現在の6カ月金利
* 6mLibor (XX m) = XX カ月間後の6カ月金利
現在と6カ月後の6mLibor金利を足して2で割った値になります。
6か月金利が渡ると、それに対応するDFも計算できます。
DF(9m) = DF(3m) × 1 / (1 + 0.5 * 6mLibor (3m))
* DF(XX m) = XX カ月間の割引率ー
いま、6カ月以下の金利情報が無いので3ヶ月金利は求まらないのですが、その話は本題からそれるので、今回は6カ月以下の金利は一定と仮定しておきましょうか。そうすると、
DF(9m) = 1 / (1 + 0.25 * 6mLibor (0)) / (1 + 0.5 * 6mLibor (3m))
と、6mLibor (0) と 6mLibor (3m)だけでDF(9m) を求めることができました。一般的に同区間のフォワード金利が分かれば、同区間のがディスカウントファクターが計算できます、その逆も成り立ちます。次はディスカウントファクターのほうからモデル化する方式を例にあげましょう。
方法その2:ディスカウントファクター・対数線形補完方式
割引率はを対数を取ったうえで線形補完する方式です。
log (DF(9m)) =(log(DF(6m)) + log(DF(12m)) / 2
式を整理して、
DF(9m) = (DF(6m) x DF(12m)) ^ 1/2
これを先ほどの式の
DF(9m) = 1 / (1 + 0.25 * 6mLibor (0)) / (1 + 0.5 * 6mLibor (3m))
に代入すると、
(DF(6m) x DF(12m)) ^ 1/2 = 1 / (1 + 0.25 * 6mLibor(0)) / (1 + 0.5 * 6mLibor(3m))
式を整理すると、
6mLibor(3m)=2 x ( (1 + 0.25 * 6mLibor (0)) (DF(6m) x DF(12m)) ^ 1/2 - 1 )
とこんな感じで 計算できました。一番シンプルな金利モデルはこの二つでしょうか。
ちょっと専門的な話になりますが、これらのモデルは変な悪さをすることが無く、とてもシンプルで、導入も楽なので、大抵の銀行はこういったシンプルなモデルを使うのが良いと常々思います。スプライン補完のように時々派手に変な値を出すことはないですし、一方でカーブの本数を増やしていっても安定しているので、ランニングコストがとてもやすく、金利感応度の出方もかなり素直です。これなら大卒の学生を雇うだけでモデルのメンテナンス・増築ができるので、自前のモデル開発も簡単にできます。