金融の日々

経済、金融工学(デリバティブ)や金融制度等について話題

【債券デリバティブ講義】金利モデルについてー金利スワップカーブモデルー

オーダーメード型の金利スワップの値段を包括的に、汎用的に、統一的に決める方法を作りたい。

 

そこで出てくるのが金融工学です。金利スワップ・プライスのモデリングについての一般的な方法を説明しましょう。

 

まず状況を簡単にするため、以下の仮定をします。

 

仮定① 金融機関はMID(仲値)でスワップを取引できる。

仮定② LIBOR金利で無コストで自由にお金を貸し借り(貸すのも借りるのも両方向)できる。

 

実はこの仮定を置くことにより、その金融機関にとって6ヶ月後の1円と現時点での1円価値の差を決めることが実はできます。以下ではその説明をします。

 

現在価値という概念とディスカウンティング・ファクターの定義

仮定②より、金融機関はLIBOR金利でお金を無制限に借りることができます。実はこのとき、LIBOR金利以上で、無リスク(損する可能性が無い)で投資できる金融商品が無い、という仮定もセットで付けることになります。なぜかというと、そんな商品あったら全部買い占めて無リスクで利益を得に行きますよね?  LIBOR金利で無制限にお金を借りれる前提を置くと、無リスクでLIBOR金利以上のリターンを出す商品は買いつくされます。そのためLIBOR金利とは無リスクで手に入る最低限の金利と考えることができます。

 

こういった、無制限にお金を借りられる仮定を置いた基準となる金利を「リスク・フリーレート」と呼びます。金融工学を成立させる最も重要な前提の一つです。

 

さて、仮定②より導かれる重要な概念に、「現在価値」があります。LIBOR金利で無制限にお金を貸し・借りできる状況では、6カ月間の100万円お金を貸す場合6カ月LIBOR金利分の付利が付きます。つまり、100万円が6か月後100万円×(1+0.5 ×LIBOR金利)になります。

 

「100万円が6か月後に100万円×(1+0.5 ×LIBOR金利)」になる貸し出し取引は無制限にできます。そのため、これは無価値の取引と金融工学では定義します。リスクを取っていないので、誰でもできる無価値な取引という事ですね。

 

ここで以下の等式が成り立つことが分かります。

現在の100万円=6か月後の100万円×(1+0.5 ×LIBOR金利

左辺と右辺を100万で割ると

現在の1円=6か月後の1+0.5 ×LIBOR金利 円

 という事は、

6カ月後の1円の価値             = 現在の1 ÷ (1 + 0.5 ×LIBOR金利)円

(LIBOR金利が0.1%の場合)    ≂    現在の0.9995円

 いかがでしょうか、未来のお金の価値を現在の値段に直すことができました! これが金融工学に置いて最も大事な概念である、未来のお金の「現在価値」です。

特に、未来の価値を現在価値に割り引く係数を割引率(ディスカウントファクター)と呼びます。金利が0.1%の時の6カ月分の割引率は0.9995です、とか、DF(6m)=0.9995とか書きます。

 

フォワード金利という概念               

次にもう一つ重要な概念である、将来の変動金利の現在時点での価値、フォワード金利の説明です。

 

例えば6か月後の6カ月間金利は6カ月後にならないと分かりません。ですが、「6カ月後の6カ月金利の値段=フォワード金利」は金利スワップレートから求められます。

 

金利スワップが将来の変動金利を数年分セットで売買する取引と以前の記事で説明しました。今、仮定①より、金利スワップは仲値で売買できます。つまり、変動金利を売るのも買うのもどちらとも同じ値段で行えますので、金利スワップ自体の価値はゼロです。

 

1年の金利スワップレートがが0.11 % とします。100万円分の変動金利を買う(固定金利を払う)としますと、

 

固定金利2回分の価値 - 変動金利2回分の価値=

DF(6m)×100万×6mLIBOR(現在)×0.5+DF(1Y)×100万×6mLIBOR(6カ月後)×0.5-DF(6m)×100万×0. 11 %×0.5-DF(1Y)×100万×0. 11 %×0.5

=0

 

が成り立つことが分かります。先ほど求めたDF(ディスカウントファクター)を用いています。0.5は金利計算区間が半年分なので、0.5をかけています。